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東京中高にて、Roots project“出張セミナー”開催

2020年2月8日、東京朝鮮中高級学校にて「東京中高オモニ会中級部保護者」が主催するRoots project出張セミナー「ウリハッキョ卒業生の新たな可能性を考える ~若手キャリアビジネスマンに聞くウリハッキョ卒業の強み~」が開催されました。

会場である東京中高の食堂には、土曜にも関わらず多くの保護者が集まりました。

まずは、3名のRoots projectメンバー による経歴&活動を紹介するプレゼンテーションです。

presentation― Roots projectメンバー による経歴&活動紹介

最初に登壇したのは、Roots project の発起人であるボーダレスハウス株式会社 代表取締役の李成一

「変化し続ける社会の中でどう生きていくのか」 という問題提起がありました。
そして、今求められている人物像として

  • 高いスペック
  • 資格
  • 根性

ではなく、

  • 素直に自分を変えていける人
  • 変化を恐れない人

であるとして、「自分と向き合い続ける強い心と仲間、コミュニティが、最後に残る砦ではないか」と話しました。

続いてのプレゼンターは、株式会社CyberE 代表取締役社長である文晟新

「アボジはバリバリのイルクンです」と語る文晟新は、 岐阜朝鮮初中級学校、愛知朝高で「サッカー三昧」の学生生活を過ごし、 愛知朝高サッカー部の先輩である 鄭大世選手の背中を見て「テセ先輩が朝鮮大学に行ってサッカーするので、僕もそうする」と朝鮮大学校進学を決めたと話しました。

朝大卒業後は岐阜に戻って岐阜商工会に入り「経済核心になる!」と考えていたところ、PCのベンチャー企業を経営している同胞の先輩から「バカでもいいから入ってくれ」と誘われ、東京にあるその会社に就職。
4年勤めたのち、GREEに転職し、韓国支社の立ち上げに携わりました。

初めて訪れた韓国では挫折の連続でしたが、「このときの経験があって、改めて自分のルーツについて考えることができた」と話します。

それからサイバーエージェントに転職し、「中途新人賞」を受賞して韓国支社長に抜擢
現在はサイバーエージェント系列の eスポーツのイベントの会社、株式会社CyberEにて代表取締役社長として活動しています。

これからの社会で求められる人物像について、サイバーエージェントが求めている人材は、

①会社の価値観と人材が合うか

→これは一言でいうと「素直でいいやつ」かどうか、です

②入社してから成長してくれそうか

→入社前の学歴や資格で採用するのではなく、「ポテンシャル採用」、つまり「誰よりも頑張れるやつ」かということ。

③変化に強い人材

「逆境経験」「圏外経験」どれだけの逆境を経験してきたのか、人と違う経験をどれだけやってきたか、ということ。

「特に③がビジネスシーンで重要視される」と話しました上で、「これ、ハッキョでソンセンニムに言われていることと被っていませんか?」

「これは教えてもらって身につくものではない、こういう経験ができるのがウリハッキョの良いところなのではないか」と話し、「採用面接でいろんな学生の話を聞きますが、人生を左右するような逆境を経験している人は少ない。今ウリハッキョで経験できていることに自信を持っていほしい」と話しました。

最後の登場したのは、リクルート、Indeed、Amazon Japan、LINEとグローバルなキャリアを積んでいる朴養順

最初に就職したリクルートでの7年間で、「社会人としての基礎を教えてもらった」
転職したIndeedでは APACアジア太平洋チームLINEでは仮想通貨、ブロックチェーンを担当し 、 北京や上海で中国企業とのアライアンス事業にも携わったと話しました。

また、クパチーノにあるApple本社を訪問した際の貴重な写真なども見せてくれました。

朝高から日本の大学に進み、グローバルなキャリアを積み重ねていく一人として、「どこで戦ってどこで自分の資産と経験を積むかが大切」と語りました。

cross talk-3名によるクロストーク

続いて行われた3名によるクロストークでは、 「ウリハッキョに通ってよかったこと」 「ビジネスの世界で在日差別はあるか」「ウリハッキョのここは変わってほしい」 「自分の子どもをどう育てたいか」など、様々なテーマについて話が交わされました。

「ウリハッキョに通ってよかったこと」 について 、文晟新は「ウリハッキョで 集団生活をする中で全員と協調して一つの目標に向かって進むという経験が、会社で『チームビルディング』する上ですごくいい経験になっている」と話しました。

「ビジネスの世界で在日差別はあるか」 について、 朴養順は 「中国やアメリカなどいろんな国の人たちがいるので勝ち残っていかないといけない、自己主張のし合いです。
差別など“しょぼい考え”をしている人はビジネスでも成果は上げられません!」と話し、もし就職で在日差別などにあった場合は「そういう目線で採用している企業にはいく必要なし!」ときっぱりと断言しました。

「ウリハッキョのここは変わってほしい」 というテーマについて、 文晟新は「朝大では 進路や学ぶ環境が制約されているのはもったいないと思う。例えば海外に留学したいとき、日本の大学では『休学』ができるが、朝大には休学という制度がなく、退学するしかない。
学生のやりたいことに対して制約を課すのはもったいない。
学生自身が『どう生きるか』を考え、自分の芯を持って進路を選ぶことができる環境になっていけばいいと思う」と話しました。

Question-and-answer sessionー質疑応答

続いては、参加された保護者からの質問に答える質疑応答の時間を設けました。

ここまでプレゼンやクロストークを熱心に聞いていた保護者から、「皆さんは親からどんな風に育てられましたか?」「子どもがGoogleに行きたいと行っているが、近道があったら教えてほしい!」など、様々な質問が飛び出しました。

ある保護者からの「 ニュートラルな目線でものを見ることが大切という話があったが、そのために学生時代にしておいた方がいいことは?」という質問に対して、 朴養順は「 日本人と関わる環境がもっとあってもいいかな、と思う。ウリハッキョと少し違うコミュニティに関われたら、進路を選ぶ上でもいいのではないかなと」と答えました。

最後にセミナーを振り返りながら、

「自分の子どもを心配している親御さんがいるウリハッキョってすてきだなと思った。声がかかればいつでも協力したい。自分たちの経験で力を与えられたらうれしい」(朴養順)

「今のウリハッキョに通う子たちは、自分の強みを強みだと思っていないから、それが『自信のなさ』につながっているのではないか
ウリハッキョで 他では経験できない「逆境経験」「圏外経験」ができているのに、それが宝の持ち腐れになっているように感じる。
たくさんの武器を持っているはずなのに、それに気づいていないから何の武器も 持たずに戦場に行っている感覚になっているのかもしれない。
子どもたちが気づかないのだったら、親やソンセンニムたちがその強みを認識して、子どもたちに気づかせてあげてほしい」(文晟新)

と2人が語ったのち、発起人である李成一が

こうやって話す機会があるのは自分のためにもなっている
今日、たくさんの保護者の方と話をして、こういう対話へのニーズも感じた
今後、 Roots projectでオンラインでキャリア相談、進路相談なども企画できれば」と話しました。

セミナー終了後も参加者たちは興奮冷めやらぬ様子で、それぞれの登壇者たちに個別に話を聞く姿があちこちで見られました。

参加された方々からも、「二時間あっという間でまだまだ聞き足りないくらい」「皆さん1人1人が生き生きしていて、とても良い時間でした」「次は是非、うちの子供達にも聞かせてあげたい!!」など、熱い感想が寄せられました。

貴重な機会をセッティングしていただいた 「東京中高オモニ会中級部保護者」 の皆さま、本当にありがとうございました!

オンライン進路相談を始めます

この日参加された保護者の方々から寄せられた要望を参考に、 『Roots project オンライン進路相談』のプロジェクトを新たに始めることになりました。
詳しくはこちらのページをご覧ください。

【3月新企画!】オンライン型キャリア相談プロジェクト開催します!